Shrink Fのブログ

精神科開業医が日々思うこと 〜あまり仕事とは関係ない〜

ヒルクライムレースが満たしてくれるもの

持ち回りで順番がやってくる医師会の5分間スピーチ。ヒルクライムレースの魅力をまとめてみました。

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 ひたすら坂を登るという苦しいだけの自転車レースが近年全国各地で盛んに開催されています。富士山で行われるレースに至っては1万人が参加するほどの人気ぶりです。和歌山県では那智勝浦町熊野古道ヒルクライムというレースが毎年11月に開催されており、私も過去3年出ています。那智勝浦海水浴場をスタートし、名勝那智の滝を横目に見ながら30kmの行程を登り続け、標高922mの大雲取岳山頂がゴールとなります。今年こそは順位を上げたいと思って毎朝5時から練習(サイクリングとは呼びません)を続けています。ロードバイクの何が私をこんなに夢中にさせてしまうのでしょうか。

 

移動の欲求

車でのドライブやバイクのツーリング、旅行なども同じようなもの。ロードバイクも慣れてくれば頑張らなくても平均30kmで進みます。自力で風を切って流れ行く景色を楽しみながら、目的地を目指す、多分、私にとってはこれが一番の楽しみになっています。

 

達成の欲求

息を切らしながら上り坂を延々と登る。しんどいです。そのしんどさが良い。登り切った時に毎回達成感が得られます。最初の頃は登るたびにタイムが縮まり、自分の成長を数字でも確認できます。頻繁に乗る人ほど上り坂をいつもサイクリングコースに入れているものです。

また、どんな事でもそうですが、練習量に比例して上手になります。特に、自転車は距離を乗るだけ速くなる。運やコツよりも練習量がそのまま報われる。そこが私にとっては魅力です。

 

優越の欲求

練習を重ねたら力試しをしてみたい。競争は良い刺激となり、普段以上の力が出るものです。レースに出ることをモチベーションに練習しているサイクリストもたくさんいます。ヒルクライムレースの極意は「一定ペースでゴールまで登り切る事」、「スタート地点で既に勝敗が決している」有名選手の言葉です。本番で頑張るのは当たり前、これまでの努力量が全て。普段の練習に力が入ります。ちなみに、自転車で一番の心配は落車。その点、ヒルクライムレースは登りばかりなのでスピードが出なくて安全です。

 

所属の欲求

「おっさん」が主な構成員、RC白浜というサイクリングチームに入っています。妻には理解不能と言われるこの趣味。同じようなおっさん達の集まりで、楽しみながら切磋琢磨しています。練習の時は先頭交代(先頭者は風の抵抗を受けるので負担が大きく、後続者は楽。ドラフティング効果と言います)をしながら、連なって、トレイン状に100kmほど走ります。実力をつけないと途中下車しにくい地獄行き列車と化します。

 

承認の欲求

頑張りが自己満足で済む時もあれば、誰かに知って欲しい時もあります。ストラバというアプリはスマートフォンGPS機能により、走った距離や決められた区間でのタイムが記録されます。例えば、「海南高原南側斜面の上り区間では何百人中何位とか」そういう区間が至る所に作られ、そこでのトップがKOM(king of mountain) 「御山の大将」というわけです。私にとってのSNSはストラバです。フォロワーがライドした記録には「すごい」をクリックして、時にはコメント、お互いの成果を讃え合います。

 

所有の欲求

ロードバイクは機材スポーツ、ええモンが欲しくなります。自転車に150万円、世界チャンピオンがレースで乗ってるのと同じロードバイクが賈えます。車に比べたら安すぎる。30万のホイールに変えたら速くなった、70万のハブはやっぱり回転が良い、多分、そんな事はありません。自己満足もありますが、価値が解って賞賛してくれる仲間がやっぱり必須です。

 

自己保存の欲求

食欲と健康欲。それに関連したテレビ番組も多い事で、誰もが関心を持っていることは明らかです。私の場合、1時間のライドで700kcal消費します。肉も酒もスイーツも、好きなだけ飲み食いしますが、体重は68kg。高校時代が71kg、開業前、趣味を柔道としていた時が86kg、痩身効果は抜群です。山を登りきった所で、ポケットに入れて持ってきた気に入りのスイーツ(最近はジママヤベーカリーのパン)を取り出し、峠道を下りながら食べるが美味いのです。普通に食べるよりも。