Shrink Fのブログ

精神科開業医が日々思うこと 〜あまり仕事とは関係ない〜

魚取りレポート2004 3. 今期初遠征

前回の教訓を忘れずに、前日のお酒は控えめ。更に薬の方も今回はメリスロンセファドールという2種類のめまいの薬を用意しました。水中眼鏡も新しいものを購入、僕の視界を妨げるマスクの傷もありません。そして、潮だまりしか潜らないという徹底ぶり。これで吐くならもう魚採りは止めるしかないというところまで来ています。

今年初めての遅すぎる南紀遠征。僕は大きな潮だまり、妻子は小さな潮だまりへとそれぞれ散っていきます。子供らもかつては亀がひっくり返ったように岩の上で転がっていましたが、今や上手に磯を歩けるようになり、安心して見ておれる、いや魚を追っておれるようになりました。

大きな潮だまり「深大」には、未だ時期尚早なのか、目を引くような魚はみられませんが、いきなり500円大のナミチョウ発見、ここは採っとここういう感じで、素直に網に入ってくれました。その直後、いきなりサザナミヤッコです。しかも採って下さいと言わんばかりの岩の窪みです。マスクを外して水面から一気に決めるか、水中から責めるかで一瞬悩みましたが、すぐに、慎重に浅場に追い込んで、マスクを外し、慎重に網へ誘導という方法とりました。しかし、慎重すぎるのはやはり悪い。網をスルリとくぐり抜けてもとの窪みへ帰っていきました。結局、この窪みで仕留める方法に変更。逃げ道を用意して、ぴったりと網の形を合わせて、その逃げ道へ誘導。あまりにも早い今シーズンのサザナミゲットです。

次は潮だまり「岩大」。ここも魚が少ないですが、大きな岩陰に居ました。ゴマチョウとキンギョハナダイ。サンゴ水槽にハナダイが欲しかったのでゴマチョウを無視しましたが、後になって考えるとハナダイは隠れはしても逃げてしまわないので、やっぱりゴマチョウから攻めるべきでした。

と言うことでハナダイ。まずはテリトリーから追い出します。驚かせると隠れ込むのでそっと岩の向こうへ追いやりました。そしてスパイラルネットを分解。テリトリー入口にぴったりと網をあてがい準備が完了したところで、追い出し棒でやや荒っぽくテリトリーの方へ戻すように追い込みました。緻密な網の仕掛けと大胆な追い出し棒の捌きが必要でした。

これですっかり満足し、もう帰ってもええわという気持ちで家族のいる浅い潮だまりの方へ行くと潮だまり「浅大」に次女が、黄色い魚が大きい岩の下に逃げ込んだと騒いでおり、その横で妻はキンギョハナダイが穴の中に入って出てこないので30分も粘っていると言い潮溜まりの縁に屈んでいます。

私は潮だまり「浅大」の中をマスクとつけて這いつくばって泳いでいますと、鮮やかな全身黄の魚発見。次女の言ってた魚です。ニザダイに混じって2匹のモンツキハギが居ました。まずは一匹にねらいを定めて岩の割れ目に追い込みました。後は出口に網をあてがい追い出し棒で誘導し、ゲット。もう一匹はゆっくりと浅瀬の別の潮だまりに追い込みましたが、子供が集まってきたのでどこかの石の下に隠れ込んでしまいました。やはり勝負どころは、その潮だまりの出入り口、そこだけマーク。出入り口に網を設置し、あとは子供がほたえるだけで、一直線に網に突っ込んできました。ハギの仲間は動きが速いですが、通り道が読み易いです。

午後からは潮だまり「深大」で魚採りに飽きた子供らと遊びながら岸壁を丁寧に見ていくと、赤いハゼがおりました。採ろうとしてもピッピッという感じでうまく網を避けていきます。この手の魚は慣れていないのでなかなか動きが読みづらく、網の入り口に入っても平気で追い込んでいる手の方へ引き返してきたりします。結局水面の辺りまで追い込んで運良くと言う感じで採りました。

その次に見つけたゴンべも同じ。岸壁を思わぬ方向に動き回ってなかなか網に入りません。それも粘りと本当に運で網に入ってくれてゲットです。この手の魚は目の前まで網を持っていっても逃げないのですが、さて網に追い込むとなるとうまく網を避けて逃げてしまいます。網への誘導が難しいのです。ハギの仲間などは泳ぎは速いのですが、通り道に網を仕掛けると一目散に入ります。それとは全く対照的です。「運」ではなくこの手の魚を採る方法を考えるのが今後の課題です。

まあ「運」でも、採ったら勝ちや、5匹のキンギョハナダイと予期せぬサザナミやゴンベのために気分を良くしてすっかり天狗になっておりました。帰りの車の中では「見つけた魚は必ず採れるよ、俺は..」などと妻に豪語しておりました。

途中水くみのために寄った中紀のホームグランド。子供らも慣れているのかそれぞれに、ホンソメ、ソラスズメ、クギベラなどめいめいに採っておりましたが、長女が岩の窪みにトゲチョウが逃げ込んだと言って私を呼びます。得意げに「よっしゃ、お父さんが採ったる。」トゲチョウ?余裕余裕。窪みの出口逃げそうな方向に網をあてがい、追い出し棒が手元になかったので海藻を引き抜いて追い出すと、あらあら、うまくすり抜けられました。しかも見失ってしまいました。

ここで取り逃がしては悪い。そう言えば前回長女が捕まえたウミウシがストック中に抜け出してしまい、私のつかまえたものは気に入らないから逃がすのかと何度も言われているだけに、このトゲチョウは逃がせないと言うプレッシャーを感じ、見失ったトゲチョウが出てくるまで、私にしては辛抱強く潮溜まりの縁でじっと屈んで待ちました。

20分ほどしてから、運良く転石地帯ではなく、海藻と岩の割れ目の地帯から先ほどのトゲチョウを発見、よかった、これなら採れそうです。少し緊張しながら岩の割れ目に沿って網に追い込む方法でセット。順調に網の方へ誘導し、あと一押しのとき(いつも葛藤する場面)、思い切って大胆に押し込むか、慎重に網の中へ導くか..で一瞬ためらい、結局慎重にやって、また見失ってしまいました。大胆にやって水面を波立たせて見失ってしまうのを恐れるあまり逃がしてしまったんだと考察しましたが、まあ、プレッシャーに負けたんですね。この件では、後々何も言われていないのでホッとしていますが、まだまだ修行が足りないという事です。

でも、やはり自信を持った方が素晴らしい網捌きをできるのではと思います。

教訓 「もっと天狗になれ!」