Shrink Fのブログ

精神科開業医が日々思うこと 〜あまり仕事とは関係ない〜

魚取りレポート2005 23.とらぬタヌキの皮算用

岸壁に付いているチョウチョウウオやハタタテダイ、ツノダシをどうしたら採れるだろうかと今シーズンは防波堤採集についてかなり考えさせられました。

まずは網を大きくすること、可能な限り大きくしてみました。しかし、大きいとフレームがしなってしまいます。そこでフレームを強化してみました。フレームのしっかりした注目を浴びるほどの巨大な網が出来ましたが、大きいとフレームと岸壁の間に隙間が出来やすいし、牡蠣ガラに引っかかりやすく、せっかく被せた獲物も引き上げる途中で逃げてしまいます。それなら、他人のアイデアをパクり、フレームに結束プラスティックバンドを沢山付けまくってブラシ状にし、隙間が出来ないようにしました。

しかし、その大きさゆえに水の抵抗が大きく、網の動きが遅いために、一向に捕まらなくなってしまいました。そこで、考え出したのが待ち伏せ用の網。二つの網で挟み撃ちにしてしまえば、魚は逃げ場がなくて根こそぎ採れるはず。

採れ過ぎたらどうしようかと、変に悩みながら、11月5日(土)、一人で南紀まで行きました。

まずは漁港その1.
ツノダシ、ハタタテ、トゲチョウ、よりどりミドリ。待ち伏せ網を右手に、巨大網を左手に、すごい装備。しかし、予想に反して、全く採れません。この漁港は深すぎ、しかも今日は透明度が悪いので仕方ないとあきらめました。

それでは透明度の良い漁港その2.
浅いところにツノダシ2匹。待ち伏せ網をヒョイとかわし、はるか彼方へ消え去りました。計算では採れるはずのトゲチョウも網に入る気配がありません。ハタタテダイは採れる気配すらなし。採れ過ぎて困るって誰が言うたんや。漁港はあきらめました。

今日は初めての場所でのトライです。辺り一体は有名な場所なのでしょうか、所々に潜って魚を採っている人の姿が見られます。採るという行為には縄張り意識が生じますので、遠慮して人の居ないところに潜ってみましたが、点在するテーブルサンゴに周りにも全くこれという魚がなく、意気消沈です。やっぱり、魚が居ない場所には人も潜っていないのですね。

そこに現れた大きなツノダシ。ツノダシには体力を消耗させられるので、防波堤で採りまくって、磯では無視するつもりやったのですが、防波堤でボウズ、潜って採る魚も居ないとあれば、相手になるしかありません。

そのツノダシ、逃げ回らずにテーブルサンゴに下に潜りこんでしまいました。これは勝機ありか、と思いきや、入り込んで全く出てきません。シビレをきらして頭を下にして覗き込んだのが悪かった。乗り物酔いしやすい人が走る車の中で逆さになって椅子の下を覗き込むようなもので一気に気分が悪くなり、ツノダシはあきらめることにしました。泳いでから間もないのですが、すっかり戦意を喪失し、もう今日はボウズで帰ろうと思いかけた頃、ふと覗いた岩の亀裂にナメラヤッコが居るではありませんか。

ナメラヤッコはあまり綺麗な魚とは言えませんが、目がキュートで、鰭も大きく、スズメダイとは違ってヤッコとしの風格を備えています。数年前に何度か見ましたが、すばしこい上に入り組んだ場所に居るので全く歯が立ちませんでした。

 

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キュートな目をしたナメラヤッコ。すばしこい上にとても採れそうにない複雑なところに居る。ナメラにナメラれるというより全く歯が立たない。

今度こそ、捕まえたい。

 

今回見つけたのは4センチくらいのいいサイズ。しかし、やはり採りにくい場所、追い出し棒も届かないような深い亀裂です。とりあえず、追い出し棒を突っ込んでみたら、亀裂に沿って、ススーっと亀裂の先まで進み、そのまま転石地帯に消えていきました。と、その時まではそう思え、近くにあった石を無造作に動かすと、その下に潜んでいたんです。居るとわかっておれば、それなりに準備もできたのにと思っても後の祭り、今度は本当に転石地帯に消えていきました。

周囲に他に魚もなく、南紀まで来ましたが、「仕方ない今日はボウズで帰ろう」と思いその磯を後にしました。泣く泣くと言いたいところですが、酔って気分が悪くなり、少ない魚も採れないとなると、魚採りが三度の飯より好きな私でも、「もうこりごり」という気分です。

しかし、車を運転していると、体力の回復とともにこのまま帰っては悔いが残ると思いがメラメラ湧き上がってきて、もう一箇所寄りましたが、全くなし。いかにも居そうな岩棚、テーブルサンゴの周りにも、転石地帯にもいません。決して目標は高くないのですが、この磯もあきらめました。

最後にもう一箇所。この磯を見てなければもう今日は諦めます。一ヶ月ほど前に採り逃がしたチョウハンの居る洞穴を覗き行くと、少し成長したチョウハンが同じところに居ました。このときばかりはまぶしく輝いていました。しかし、あっという間に追い出し棒も届かない大きな岩の下に逃げ込んでしまい出てくる気配がありません。他に魚が居ないので粘り強く待ちましたが、一向に出てきません。大岩の下は他に出口がないのでじっと待つことにしました。いくら睨んでいてもチョウハンは出てきません。

そこで先に痺れを切らしたのは、なんとその隣の岩穴にいたサザナミヤッコ。ノーマークでした。視界の端にヒラリと入ってきたブルーのライン。その岩穴は浅く、深いほうの穴へ入られないように追い出し棒で穴から追い出すとあっけなくタモ網の中に納まってしまいました。


魚を漠然と探していても見つかりにくいとき、一匹を追って隠れたところを丹念に探せば、運の悪い魚を偶然見つけてしまうことが良くあります。今回はそれに救われたという感じ。チョウハンは二度と現れませんでしたが、気分をよくして、もう一丁、漁港に寄りましたが、沢山見つけながらやっぱりボウズ。体力ばかり消耗して、使えん巨大アミです。行く時、採れ過ぎて困ると悩んだのは一体何?

帰り道は、めげずに次のアイデア。次回、乞うご期待!