Shrink Fのブログ

精神科開業医が日々思うこと 〜あまり仕事とは関係ない〜

魚取りレポート2005 25.サンゴ域のストレス

もう寒いし、魚も採れないので今年は終わりやと思ったのは束の間、やっぱり週末が近づくにつれて潜りたくなってきました。フウライ、スミツキ、ミゾレは水槽に居ますので、それ以外は何でも欲しいという思いが強く、11月26日(土)はとにかく色々な種類が居てそうな所ということで南紀のサンゴ域有名ポイント回る事にしました。シーズン中は誰かが必ず潜っているようなところです。今日は娘が一緒に行きたがるのを断ってまで、マイペースで魚採りしたいという切羽詰りようでかなり気合が入っており先週のように寒さに負けることはないはずです。酔い対策にはトラベルミン2錠服用、万全です。

Dポイントには誰か既に入っていたので、まずはKと呼ばれる場所。最初、水の冷たさが堪えます。いきなりミナミハコフグが居まして、ボウズだと寂しいのでとりあえず採っておきました。寒さをこらえて魚を探しますが、大きなフウライやトゲ、ナミ以外のチョウチョウウオはなく、当然ヤッコも見当たりません。「なんで俺はこんなに寒い思いをして海に入っているんや?」と自問自答を始めたら余計に寒くなってきて、30分ほどでKは切り上げました。

しかし、まだ余力はあります。車でポイントTに移動しました。前回の場所です。目の前に広がる群生枝サンゴの外れの転石地帯にいきなり10円大のトゲチョウ発見。喉から手の出るくらい欲しいサイズです。簡単に採れると思ってましたが、動かすことの出来ない大きな石の下に消えて見失ってしまいました。その次に現れたツノダシにも追い詰めたはずの岩の下から追い出すことが出来ずに断念。どうしても採りたいという焦りと寒さの為に余裕がなくなっているのかなど思いながら、テーブルサンゴや枝サンゴの中に居て採れそうもないヤリカタギ、トノサマダイ、アケボノを横目に見ながら、先日逃したアカハチハゼを捕まえようとポイントを移動しました。

アカハチ用に新しいタモ網も作成済みで、今日は見つけたら採れるはず。しかし、アカハチの姿はありません。寒さとともこみ上げてくるこのやり場のない思いはどこにぶつけたらいいのでしょうか。
「そうや、前々回に逃したナメラヤッコのポイントが歩いていける場所にある。」

海から上がると冷えきった体に外の空気の冷たさは結構堪えます。最初ためらうほどに冷たかった海の水は今度はお湯のように感られ、飛び込むようにナメラの潜むであろう岩山を目指しました。3週間前のナメラはあの亀裂にやっぱりいました。

前回と同じミスを犯さないようにまず転石地帯に通じる左端を網で塞ぎ、その網に追い込むという作戦です。ただならぬ気配を感じたであろうナメラは亀裂の右側にある大きな窪みに引っ込んでしまいましたが、その窪みは深いものの隠れこんでしまえるような隙間などはありません。窪みの出口にタモ網を構えて追い出し棒で誘導すれば採れそうな感じもしましたが、とにかく大事に行きたいということで左端に仕掛けた網へ追い込もうと、左の方へ誘導しました。窪みを出て、亀裂沿いに途中トンネルを抜けて網に入る仕掛けでしたが、トンネルからナメラが出てきません。それならと追い出し棒を突っ込みましたが出てくる気配なく、仕掛けた網の保険に頼りすぎたという方針を大いに悔いましたが、時既に遅く、二度と姿を見ることはありませんでした。

「チャンスあればそのときにトライすべし」でなければ、今回のように悔いが残ります。ナメラゲットで今シーズンの幕にしたかったのですが、どうやらミナミハコフグ一匹に終わりそうな予感です。家に帰ると、家族からは「なんやミナミハコフグ一匹か....」のお言葉。

今シーズンがこれで終わるのかどうかはわかりませんが、振り返ると魚も少なかったせいか、南のサンゴ域に拘りすぎていたような気がします。確かにサンゴ域にはいろいろな魚が多く、有名ポイントも集中し、採集に来る人も多く、それだけに珍しい魚を採ったという報告も多く飛び交います。

しかし、サンゴ群生地帯では魚を見つけても採るのが難しく、ストレスが溜まります。初夏に居る珊瑚トラップにかかる大きさのチョウチョウウオを採るのは楽しいですが、それ以上の大きさになるとなかなか手が出せません。魚は多いが採るのは難しい。魚は少ないが見つけたら採れる。どちらを選ぶのかはその人の採集観でしょうが、魚が多ければそんなことを考えなかったのかも知れません。とにかく、魚が少ないが故にいろいろ考えたシーズンでありました。

 

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珊瑚群生域では魚を見つけても指を咥えてみているしかない.....