Shrink Fのブログ

精神科開業医が日々思うこと 〜あまり仕事とは関係ない〜

魚と熱化学方程式 ~魚採りの法則~  

平成16年、南紀の海でカンムリベラを採っているとき、ふと高校時代の化学で勉強した熱化学方程式を思い出しました。

 H2(気)=2H - 436Kcal

1モルの水素の気体とそれがバラバラの水素原子になったときのエネルギーの差は436Kcalで、とにかくバラバラになっているものはエネルギーレベルが高く不安定である。引っ付いてエネルギーレベルが低くて安定するところへ落ち着きたがる。
そして、物質が変化するときに活性化状態(図C)となり、この状態ではかなりのエネルギーを要し、きわめて不安定な状態である。


これはそのまま、魚を採る時の魚の行動に当てはまるのではないでしょうか。

Aは、巣の奥に魚が逃げ込んだ状態。魚の警戒心が最大。安定した場所で決して捕まらない状態。
Bは、魚の通常の状態。巣穴の近くに居り、餌など食べている。何かあればすぐに逃げ込める状態。
Cは、きわめて不安定で魚がじっとして折れない状態。逃げている途中。捕まるのはこの時。
Dは、Cから逃げ込んでとりあえず安定した状態。敵のスキをみてD→Aに逃げ込み更に安定した状態に移る機会を伺っている。

通常Aではお手上げ状態で我々は魚を捕まえることができません。でも、魚もいつも巣穴の奥にこもっているわけにもいかないので、通常はBの状態に居ます。我々が魚を見つけるのはこの時です。

そして、魚採りの第一歩はB→Aの退路をまず断つことです。具体的には逃げ込まれたら困る方向から追い込んだり、巣穴の方向から追い出し棒で威嚇するなどでしょうか。

すると魚はCを経て、とりあえずDに落ち着きます。ここで我々が油断するとAに戻ってしまうので、適当に牽制しながら捕獲体制の整ったC状態に追込みGETするということです。

実際、方程式のほうにうまく計算はできませんが、この法則はそのうち「採集学」の教科書に載りそうな気がする今日この頃です。