Shrink Fのブログ

精神科開業医が日々思うこと 〜あまり仕事とは関係ない〜

波止場のハタタテダイ 〜旗に惑わされるな〜

小学生の頃、私が生まれ育った大阪の南、泉南にはまだ関西空港はなく、きれいな遠浅の砂浜が広がっていました。当時はガッチョ(ネズミゴチ)やハゼ、カレイがよく釣れ、200円で青ゴカイを買っては放課後に友達と釣りに行きました。そのころ父親がタモ網を持って潜り、掬ってきた手の平ほどのハタタテダイをしばらく家で飼っていたのを今でもよく覚えています。泉南の砂浜にもこんなに綺麗な魚がいるもんだと、フナしかすくったことのない私には驚きでした。

かなり汚れてしまった泉南の海にはもう居ないかも知れませんが、和歌山の海には波止場の周りに、時々背中に旗を立てて泳いでいるような魚-ハタタテダイ-を見かけます。旗を立てて泳いでいるくらいやからものすごい水の抵抗で、大きい網があったら必ず掬えそうです。しかし、実際は網を近づけると素早くかわし、まるで網との間合いを見切っているかのように、網にはなかなか入ってくれません。ハタにだまされてしまうのです。水の抵抗はハタタテダイの旗より、網のほうが遥かに大きいのです。

そこで、うまくハタタテダイをゲットする方法を考えてみました。

その1、小さな個体を狙うべし。当然動きは遅いはず。大きなやつは動きも早いし、すぐに網の届かない深いところに潜ってしまうし、長年生きてきただけあってスレております。ただし、そんな都合のいい個体が居ればの話ですが..

その2、大きな網を買うべし。釣具屋で3000円~4000円くらい。あまり大きいと水の抵抗も大きくなり、水の中で動かせなくなるといいます。できれば畳一畳くらいの網を作ってみたいものです。水の抵抗には筋トレで対応します。

その3、小さなハタタテダイは縄張りというか一定の行動範囲を持ちます。波止場に沿うようにフラフラと泳いでいても、ある決まった所でいつも折り返してしまい結局はその場所から離れません。こういった習性はハタタテダイに限ったことではないようです。そして、その習性を生かしてハタタテダイをキャッチするのです。ハタタテダイを捕まえようとして網を入れると、それを察知して当然逃げますが、一瞬で消えてしまうわけではなく、網と一定の間合いを取りながら、波止場の壁に沿って移動します。急にかぶせてもサッとかわされてしまうのは上述の通りですが、そこでこの方法の出番です。
ゆっくりゆっくり、”縄張り”から追い出すように網で追い込んでいくのです。そしてその境目を見極めることです。まさにそのturning pointで魚は躊躇します。「網は追ってくるし、住処から出たくないし、」その迷いのために魚は網との間合いを一瞬見切れなくなります。そこを逃さず一気に網を波止場の壁に被せるようにすれば100%OKです。

  ~まだ一匹しか捕まえたことのない私の採集記より

 

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安物の網は肝心な時に折れるかも....