Shrink Fのブログ

精神科開業医が日々思うこと 〜あまり仕事とは関係ない〜

魚取りレポート2004 6.カンムリベラに翻弄

7月24日土曜日、小潮。期待して行く大潮より何気に行く小潮という言葉もあるように(ないない)、今日は何気なく一人で素潜り採集に出かけようと思いました。あまり、干かないので、家族で潮溜まりを楽しむのは難しいからです。みんな海へ行くのも少し疲れてきたらしく、快く、一人で行っておいでと送り出してくれましたが、小学校高学年の長女は友達との約束をキャンセルしてまでついて来るといいます。もう後何年、海について来るんだろうか、などとしみじみ思いながら、貴重な時間を楽しむようなつもりで、南紀へ向けて車を走らせました。

今年は、猛暑の影響なのでしょうか、先日サザナミヤッコに出会ってますし、他にもヤッコをつかまえたという話も耳に入ってきます。今日は、ヤッコが狙いです。去年沢山見つけた場所に行ってみました。

しかーし、期待は見事に裏切られ、ヤッコはおろか、チョウチョウウオの類もほとんど居りません。ようやくつかまえたホンソメも小さすぎて、生簀の隙間から抜け出てしまうありさま。残念!泣く泣く場所移動です。泣くとまで言えば少々たいそうですが、このポイントは海辺を500メートルくらい歩かないといけないので、帰りの足取りがやけに重たくなります。

気を取り直して、少し珊瑚のあるポイント。枝珊瑚の中には小さなスミツキがちらほら。しかし、枝珊瑚に魚が入るとお手上げです。枝の間をヒラリヒラリとし、追い出し棒もまったくの無力と化します。無理に追いまわせば枝珊瑚が崩れてしまいます。気長に珊瑚トラップしかありません。待つこと約一時間、別に一時間じっと待っていたわけではありませんが、その間、何もこれといった魚に出会えず、やっとの思いでトラップに移ったスミツキをゲット。これまた、しかし、小さすぎます。小指の爪の位のサイズ。半泣きで、リリース。

またまた、気を取り直して魚を探していると、テーブル珊瑚の隙間に、カンムリベラ発見。3,4センチのお手ごろサイズ。しかし、場所が悪すぎます。片手がかろうじて入るくらいの窪みで網の入る余地もありません。隙間から追い出すことができたらいいのですが、隙間に手や追い出し棒を突っ込んでも、通常魚は奥へ奥へと入り込んで行きます。ダメもとで、そっとテーブル珊瑚の隙間に追い出し棒を入れると運よく、カンムリベラの奥にセットできました。20%ゲットです。

次はカンムリベラを刺激しないように、追い出し棒でソーッと手前に追い出します。うまいこと珊瑚の下から出てきてくれました。この時点で40%ゲットです。

追い出しただけでは、カンムリベラは不安定です。すぐに安全な珊瑚の下に戻ろうとします。ここで刺激を与えると、追い出し棒と言う危険物をかいくぐってもとの安全地帯に戻ろうとしますのでう、決してパニックを起させず、誘導するようにここぞという小さな岩の窪みに追い込みました。この時点で60%ゲットです。

窪みに入ってしまえば、カンムリベラはとりあえず、障害物の中ということで安定します。よっぽどの刺激を与えない限り、危険を冒してまで追い出し棒を越えて、元の場所へは戻ろうとしないであろうと考え、捕獲体制を整えます。80%ゲット確信しました。

右手でタモ網を窪みの出口にあてがい、左手を窪みに突っ込んでカンムリベラを網へと誘導です。頭の中では既にカンムリベラを捕えていました。ところが、最後の詰めで、網をかわして、カンムリベラはもとの珊瑚下へ戻ってしまいました。最後の詰めは、誘導ではあかんのです。やっぱり思い切りのよさが必要なのだろうか。と一人でプチ反省会です。

しかし、ゆっくり反省会している余裕もなく、カンムリベラはもと居たテーブル珊瑚の隙間でうろうろしています。この辺がカンムリベラの習性のようです。もう一度やり直しです。一度目よりは思い切ったと思うのですが、最後の詰で、また、かわされました。三度トライ。くぼみ出口にあてがう網の形を更に整えましたが、それでも駄目です。

次は、追い込む場所の変更じゃー。しかし、サービス精神旺盛なカンムリベラもこの作戦に臆したのか今度は姿を消してしまいました。時間を置いて元居たテーブル珊瑚の下を何度も見に戻りますが、やっぱり居りまへん。ゲームオーバーです。

今回は、じっくりとカンムリベラの行動を観察させていただきました。

1.テリトリーから、ちょっとやそこらでは離れない。
2.ゆっくり誘導すれば、案外思ったポイントに追い込みやすい。
3.網にはなかなか入ってくれないが、手や追い出し棒にはそんなにビビらない。
4.余裕をかまして、泳ぐ。肝心なときには、ひらりとかわし、本気を出せばすばやく逃げる。

カンムリベラを採るコツ
「本気を出されるまえに採ってしまう。」

娘の方はと言えば、大きなエイを目の前で見て、えらく感動しておりましたが、その後はイソギンチャクにひっついているクマノミベビーに夢中で、必死に潜っておりました。
まあ、獲物はなかったけど、娘も楽しめたようだし、カンムリベラにも遊んでもらえたし、いい南紀遠征でした。